アイドルLovers(18禁)
プロローグ
芳樹が十歳の時。十三歳上の兄に連れられて、リバースタープロダクションが運営するダンススクールへやってきた。 担当の若い女性スタッフに案内されて、ダンスレッスンを見学する。 沢山いる生徒の中、一際目を引く容姿をした子どもを見つけた。 もの凄く可愛い子だった。 くりくりとした目は大きく、綺麗な鼻筋に程良い大きさの唇。 その子から芳樹は目を離せずにいた。 一目惚れだった。 ダンスレッスンが終わるまで、芳樹は、ずっとその子に視線を注いでいた。 「芳樹。どうする? やってみるか」 兄の問いに、芳樹は頷いた。兄は嬉しそうな顔をして、担当の女性と話はじめた。 芳樹はもう一度、先ほどの可愛いあの子に目を向ける。 芳樹の視線に気づいたのだろう。その子と目があった。 胸が騒ぎだす。 「芳樹くん。こっち」 そう言って、女性担当者が、芳樹の手を引いた。 「井上。こっち来て」 女性担当者が呼んだのは、先ほどまで芳樹が見とれていたあの子だった。 「何?」 面倒臭そうな表情だ。少しばかり、芳樹は傷ついた。 「この子、新しく入ることになった湧井芳樹君。年はあんたより、一つ上よ。井上の班に入れるから、仲よくしてやって」 「よ、よろしく」 頭を下げた芳樹を、舐めるように見て、その子は口を開いた。 「先に言っとくけど、俺、男だから」 「え?」 男? 芳樹は首を傾げた。どこからどう見ても、女の子にしか見えないが。 そう思ったのが顔に出たのか、井上と呼ばれた子は、不愉快な気持ちを隠そうともせず、言葉を続けた。 「俺の名前は、井上悠斗。正真正銘の男だからな。気持ち悪い間違いしやがったら、ぶっ飛ばすぞ」 「こら、井上。いきなりケンカ売ってるんじゃないわよ」 担当者が慌てたような声を上げて、悠斗を窘める。 何だ、男だったんだ。 この時。芳樹の初恋は、呆気なく終わりを迎えた。 |
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